高齢者はキャッシュレス決済をどう使っている?現金からスマホ決済へ変わる買い物

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「高齢者は現金で買い物をする人が多い」
以前は、そんなイメージがありました。
しかし、現在の高齢者の買い物を見ると、その姿は少しずつ変わっています。
クレジットカード、電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済を利用する高齢者が増え、スーパーやドラッグストアなど、日常の買い物でもキャッシュレスが使われるようになっています。
経済産業省によると、2025年の日本のキャッシュレス決済比率は58.0%に達しました。決済額は162.7兆円で、2024年の42.8%から大きく上昇しています。
では、高齢者は実際にキャッシュレス決済をどのように使っているのでしょうか。
この記事では、60代・70代を中心とした調査をもとに、高齢者の買い物とキャッシュレス決済の変化を見ていきます。
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- 1. 高齢者も「現金だけ」の買い物ではなくなっている
- 2. 高齢者が一番使っているのは「スマホ決済」ではなくクレジットカード
- 3. 高齢者の買い物でキャッシュレスが使われる場所
- 4. スマホ決済を使う高齢者も増えている
- 5. なぜ高齢者はキャッシュレスを使うようになったのか
- 6. 「財布を持たない」まで進んでいるわけではない
- 7. 高齢者にとって「スマホ決済」は便利だが、注意点もある
- 8. 高齢者は「一つの決済方法」に絞ると使いやすい
- 9. 「現金かキャッシュレスか」の二択にしなくてもいい
- 10. 高齢者の買い物は「現金からスマホ」だけでは説明できない
- 11. これから高齢者の買い物はどう変わる?
- 12. まとめ|高齢者のキャッシュレス化は「現金ゼロ」ではなく「使い分け」へ
高齢者も「現金だけ」の買い物ではなくなっている
まず注目したいのが、「高齢者=現金派」というイメージとの違いです。
2024年に60代・70代の男女500人を対象に行われた調査では、普段の支払いについて、
- 「現金も使うがキャッシュレス決済が多い」44%
- 「ほぼすべてキャッシュレス決済」18%
となりました。
つまり、現金よりもキャッシュレス決済を多く使っている人が約6割に達しています。
一方、「キャッシュレス決済も使うが現金が多い」は17%、「現金払いのみ」は7%でした。
これは、高齢者の買い物が一気にスマホ中心になったという意味ではありません。
むしろ、
現金だけ → 現金+カード → カード中心 → スマホ決済も利用
というように、少しずつ支払い方法が変化していると考えると分かりやすいでしょう。
高齢者が一番使っているのは「スマホ決済」ではなくクレジットカード
ここは意外に感じる人もいるかもしれません。
「キャッシュレス化」というとPayPayなどのスマホ決済を思い浮かべがちですが、高齢者のキャッシュレス利用では、現在もクレジットカードの存在感が大きくなっています。
60代・70代を対象とした調査では、メインで利用しているキャッシュレス決済は、
1位:クレジットカード 57%
2位:QRコード決済 26%
3位:電子マネー 13%
でした。
また、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」でも、高齢者が「よく使う」「たまに使う」を合わせた利用率は、
- クレジットカード:49.2%
- 電子マネー:30.0%
- バーコード・QRコード決済:22.9%
という順番でした。
つまり、高齢者のキャッシュレス化を考えるとき、
「現金からスマホ決済へ」だけを見るのは少し違います。
実際には、
現金からクレジットカードや電子マネーへ移行し、その一部がQRコード決済にも広がっている
という変化が起きています。
高齢者の買い物でキャッシュレスが使われる場所
では、どこでキャッシュレス決済が利用されているのでしょうか。
60代・70代を対象にした調査では、キャッシュレス決済をよく利用する場所として、
スーパーマーケットが68%で最多
となりました。
続いて、
- ドラッグストア:40%
- コンビニ:31%
- 通販・ネットショッピング
などが挙げられています。
ここから分かるのは、高齢者のキャッシュレス化が「特別な買い物」から始まっているわけではないということです。
むしろ、
食品を買う
↓
日用品を買う
↓
薬や生活用品を買う
↓
コンビニを利用する
という、毎日の生活に密着した支払いからキャッシュレス化が進んでいます。
これは重要なポイントです。
キャッシュレス決済が高齢者の生活に定着するかどうかは、スマホを使いこなせるかだけではなく、普段利用する店で簡単に支払えるかどうかにも左右されるからです。
スマホ決済を使う高齢者も増えている
もちろん、スマートフォンを使った決済も広がっています。
2024年に60歳以上を対象として行われた調査では、直近1カ月以内にキャッシュレス決済を利用したシニアは73.7%でした。
さらに、「現金決済よりキャッシュレス決済を多く利用している」と回答した人は51.7%でした。
つまり、キャッシュレス決済はもはや「若者だけのもの」ではありません。
60代、70代でも、日常生活の中で普通に使われる決済手段になりつつあります。
さらに、2025年の調査では、60~70代の「自分はキャッシュレス派だと思う」という回答が64.6%となり、前年の62.0%から上昇しています。
高齢者自身の意識も、少しずつ変化していることが分かります。
なぜ高齢者はキャッシュレスを使うようになったのか
では、なぜ高齢者にもキャッシュレス決済が広がっているのでしょうか。
理由の一つが「便利だから」です。
60代・70代対象の調査では、メインでキャッシュレス決済を利用する理由として、ポイント付与や割引が受けられることが大きな理由になっています。
特に物価上昇が続く現在では、ポイントや割引を無視できません。
例えば、
「現金で1,000円払う」
よりも、
「スマホ決済で1,000円払い、ポイントが付く」
のであれば、キャッシュレスを選ぶメリットがあります。
高齢者にとっても、キャッシュレスは「若者向けのデジタルサービス」ではなく、家計を少しでも節約するための道具になってきています。
「財布を持たない」まで進んでいるわけではない
一方で、ここには高齢者ならではの特徴もあります。
キャッシュレス決済を利用していても、現金を完全に手放しているとは限りません。
2024年のシニア調査では、約7割が「現金を持たずに外出すること」に抵抗を感じるとされています。
つまり、
キャッシュレス派=現金を持たない人
ではありません。
高齢者の場合、
「基本はカードやスマホで支払う。でも現金も少し持っておく」
という使い方が現実的です。
これは非常に合理的な方法でもあります。
小さな店舗では現金しか使えない場合があります。
また、通信障害やスマートフォンの故障、バッテリー切れなどが起きれば、スマホ決済が使えない可能性もあります。
そのため、キャッシュレス化が進んでも、現金を完全になくす必要はありません。
高齢者にとって「スマホ決済」は便利だが、注意点もある
キャッシュレス決済にはメリットがある一方、注意すべき点もあります。
特に高齢者の場合、スマートフォンの操作に慣れていない状態で、複数の決済サービスを使い始めると混乱することがあります。
例えば、
- 残高がいくらあるか分からない
- どの銀行からチャージされたか分からない
- ポイントの仕組みが分からない
- 支払い履歴を確認していない
- スマホを紛失した
- 不審なメッセージを信じてしまう
といった問題です。
特に注意したいのが、QRコード決済を悪用した詐欺です。
消費者庁は、通信販売サイトの「返金手続き」を装い、PayPayなどのコード決済サービスを使って、返金ではなく逆に送金させる手口について注意喚起しています。
「返金するのでスマホを操作してください」
などと言われても、相手の指示だけで決済操作をしないことが大切です。
高齢者は「一つの決済方法」に絞ると使いやすい
キャッシュレス決済をこれから始める高齢者なら、最初から複数のサービスを使う必要はありません。
むしろ、
「自分が一番よく行く店で、一番簡単に使える方法を一つ選ぶ」
ほうが分かりやすいでしょう。
例えば、
スーパー中心なら
クレジットカードや店舗の電子マネーを利用する。
スマートフォンをよく使うなら
QRコード決済を一つ選ぶ。
電車やバスをよく利用するなら
交通系ICカードを利用する。
というように、自分の生活に合わせて選ぶことができます。
重要なのは、「キャッシュレス決済を使うこと」ではありません。
自分にとって分かりやすく、安全に使えることです。
「現金かキャッシュレスか」の二択にしなくてもいい
高齢者の買い物を考えるとき、「現金派」と「キャッシュレス派」に分けて考える必要はありません。
むしろ、
現金とキャッシュレスを使い分ける
という方法が現実的です。
例えば、
スーパーではクレジットカード。
コンビニではスマホ決済。
交通機関ではICカード。
小さな店舗では現金。
という使い分けです。
この方法なら、それぞれのメリットを利用できます。
現金には「使いすぎを抑えやすい」というメリットがあります。
一方、キャッシュレスには「支払いが早い」「小銭がいらない」「利用履歴を確認できる」「ポイントが付く」といったメリットがあります。
どちらか一方に完全に移行する必要はありません。
高齢者の買い物は「現金からスマホ」だけでは説明できない
ここまで見てくると、高齢者の買い物の変化が見えてきます。
昔のイメージでは、
現金 → 高齢者
という構図でした。
しかし現在は、
現金
↓
クレジットカード
↓
電子マネー
↓
スマホ・QRコード決済
と、選択肢が広がっています。
そして重要なのは、すべての高齢者が同じように変化しているわけではないことです。
クレジットカードを中心に使う人もいれば、電子マネーを使う人、スマホ決済を使う人、現金を中心にする人もいます。
内閣府の調査でも、QRコード決済はクレジットカードや電子マネーより利用率が低く、まだ「使わない」人が多いことが分かります。
したがって、「高齢者もスマホ決済が当たり前」と断定するのではなく、
高齢者のキャッシュレス化は進んでいるが、カードや電子マネーを含めた多様な使い分けが進んでいる
と考えるほうが実態に近いでしょう。
これから高齢者の買い物はどう変わる?
今後もキャッシュレス化は進む可能性があります。
経済産業省は、2030年までにキャッシュレス決済比率65%という中間目標を掲げ、さらに将来的には80%を目指しています。2025年の時点ですでに58.0%まで上昇しています。
高齢者の生活でも、
- スーパーでカードやスマホ決済
- ネット通販でオンライン決済
- 電子マネーで交通費を支払う
- スマホでポイントを貯める
- キャッシュレスの利用履歴で支出を確認する
といった行動は、さらに一般的になっていくでしょう。
一方で、現金がなくなるとは考えにくいでしょう。
特に高齢者にとっては、「使い方が分からない」「トラブルが怖い」「現金のほうが安心」という感覚もあります。
そのため、これから重要になるのは、
現金をなくすことではなく、現金とキャッシュレスを安全に使い分けられること
ではないでしょうか。
まとめ|高齢者のキャッシュレス化は「現金ゼロ」ではなく「使い分け」へ
高齢者のキャッシュレス決済は、確実に広がっています。
2025年の日本全体のキャッシュレス決済比率は58.0%に達し、高齢者を対象とした調査でも、現金よりキャッシュレス決済を多く使う人が増えています。
ただし、その中心がいきなりスマホ決済になったわけではありません。
高齢者では現在も、
クレジットカード
↓
電子マネー
↓
QRコード・スマホ決済
という順番で利用が広がっています。
そして、現金を完全にやめるのではなく、必要に応じて現金とキャッシュレスを使い分ける人も少なくありません。
これからの高齢者の買い物で大切なのは、
「現金かキャッシュレスか」ではなく、「自分にとって簡単で、安全で、家計管理もしやすい方法は何か」
を考えることです。
キャッシュレス決済は、単に財布から現金をなくすための技術ではありません。
ポイントや割引を利用したり、支出履歴を確認したり、買い物を簡単にしたりすることで、高齢者の暮らしを少し便利にする道具にもなります。
ただし、スマホ決済の操作を他人に任せたり、不審な「返金」手続きを指示されたりすることには注意が必要です。
便利さだけでなく安全性も意識しながら、自分の生活に合ったキャッシュレス決済を取り入れていくことが、これからの高齢者の買い物では重要になりそうです。

